非上場企業の株価算定(自社株評価)手法まとめ~税法評価からDCF法・ブラックショールズまで~

「親族から自社株を買い取りたいが、いくらで買えばいいのか?」

「M&Aや事業承継を控えているが、うちの会社の価値はいくらなのか?」

非上場企業には、上場企業のように毎日変動する「市場の株価」がありません。そのため、自社株の評価(株価算定)を行う必要がありますが、ここで多くの経営者が混乱します。

なぜなら、「誰から誰へ、何の目的で株式を移動させるか」によって、適法とされる『時価』の計算方法が全く異なるからです。

この記事では、四大監査法人出身の公認会計士・税理士が、税務上の評価手法(配当還元方式など)から、M&Aやファイナンスで用いられるバリュエーション手法(DCF法・ブラックショールズ等)まで、代表的な評価手法を網羅的に解説します。

目次

1. 【税務上の評価】財産評価基本通達によるアプローチ

親族間や、同族会社と個人の間で株式を売買する際、国税庁の定める「財産評価基本通達」に則った時価で取引を行わないと、多額の贈与税やみなし譲渡所得課税の対象となります。

原則的評価方式(類似業種比準価額法・純資産価額法)

会社を支配している同族株主の間で株式を異動させる場合は、会社の規模(大・中・小)に応じて、以下の方式を単独または併用して評価します。

  • 類似業種比準価額法:事業内容が似ている上場企業の株価を基準に、自社の「1株当たりの配当金額」「利益金額」「純資産価額」の3要素を比較して計算します。一般的に株価が低く算出されやすいのが特徴です。
  • 純資産価額法:会社の貸借対照表にある資産と負債を、課税時期における「時価」で評価し直し、資産から負債を引いた純資産額(解散価値)をベースに計算します。含み益に対する法人税額等相当額(37%)の控除が認められます。

【株主整理の要】特例である「配当還元方式」

経営支配権を持たない「同族株主以外の株主(少数株主)」等から株式を取得する場合、原則として配当還元方式という特例が認められます。

過去の配当金額をベースに10%の利率で還元して株価を計算するため、原則的評価方式と比べて株価が極めて低く(額面程度に)算出されます。 退任した役員や、経営に関与していない親族から会社が自社株を買い取る(自己株式の取得)際、買い取り資金を極小化しつつ税務リスクをクリアできる、実務上最も重要な手法です。

自己株式を取得する際の「会社法の厳格な手続きや財源規制」については、以下の記事で解説しています。

2. 【M&A・組織再編】ビジネスにおけるバリュエーション手法

第三者とのM&Aや、ファンドからの出資受け入れ、あるいは裁判所で「公正な価格」が争われるような場面では、税務通達に縛られず、企業の将来性や収益力を反映したファイナンス理論に基づく評価が行われます。

評価手法概要と計算のベースメリット・実務での使われ方
年買法(マルチプル法)時価純資産 + (実質営業利益 × 1~5年分)直感的でわかりやすく、中小企業のM&Aにおける当事者間の価格交渉の目安として最もよく使われます。
DCF法将来生み出すと予測されるフリーキャッシュフローを、一定の割引率(WACC等)で現在価値に割り引く将来の収益力を最も論理的に反映可能。M&Aや裁判等で「公正な価格」を算定する際の標準的手法です。

3. 【高度な算定】複雑なオプション評価モデル

ベンチャー企業が発行する種類株式(優先株式)や、新株予約権(ストックオプション)、業績連動型のM&A(アーンアウト条項)などの複雑な権利関係を評価する場合、高度な金融工学のアプローチが求められます。

  • ブラック・ショールズ・モデル:株価の変動率(ボラティリティ)や無リスク利子率などの変数を用いて、オプションの理論的な価値を算出する方程式です。ストックオプションの会計処理や税務評価において標準的に利用されています。
  • モンテカルロシミュレーション:将来の株価や業績の動きに対して乱数を発生させ、何万通りものシナリオをシミュレーションして適正価値を統計的に導き出す手法です。ブラック・ショールズでは計算しきれない複雑な条件がある場合に活用されます。

まとめ:目的に合わせた「時価」の使い分けを

自社株評価において最も留意すべきは、「税務上の時価」と「M&Aや会社法上の公正な価格」は全く異なるという点です。

株式会社MiChiでは、Big4(大手監査法人)で培った高度なバリュエーション技術(DCF法やモンテカルロシミュレーション等)と、税理士法人で研鑽を積んだ「税務署に否認されない適法かつ有利な株価算定(配当還元方式等の極大化)」の両方を高い次元で提供しています。

「自社の株価は今いくらなのか?」

少しでも疑問や不安がある場合は、自己流で進める前に必ず専門家にご相談ください。


よくあるご質問(FAQ)

少数株主(元役員など)から「DCF法で計算した高い株価」での買い取りを強く要求されています。応じなければいけませんか?

必ずしも応じる必要はありません。少数株主からの買い取りにおいて、将来の収益を高く見積もったDCF法が常に適正とは限りません。過去の判例でも、非上場の少数株式の評価には「配当還元方式」等が支持されるケースが多くあります。相手方の言い値で合意する前に、第三者機関による客観的な株価算定書を取得し、交渉の根拠とすることをお勧めします。

株価算定書の作成を依頼した場合、費用と期間はどのくらいかかりますか?

目的によりますが、最短2週間〜、費用は数十万円〜が目安です。税務目的のシンプルな算定(財産評価基本通達に基づく評価)であれば比較的短期間・低コストでご提供可能です。一方、M&Aや裁判の証拠としてのDCF法やモンテカルロシミュレーションを用いた複雑なレポートの場合は、1ヶ月以上の期間と相応の費用を要します。初回相談と簡易お見積もりは無料ですのでお気軽にご相談ください。

【手遅れになる前に】まずは自社の適正な株価を知りませんか?

この記事を書いた人

四大監査法人(Big4)および税理士法人出身の公認会計士・税理士で構成される株式会社です。
公認会計士としての「保証業務」の品質を税務に応用し、税法・会社法・金融商品取引法や判例に基づく強固な「法的理論武装」と「書面添付制度」を駆使して、KSK2等のAI税務調査から企業を徹底防衛します。
また、M&Aの財務DD、株価算定、事業承継、組織再編スキームの構築など、企業価値を最大化する攻めの財務戦略をワンストップで提供します。

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