令和8年度税制改正における法人課税の最大の目玉が、「特定生産性向上設備等投資促進税制」の創設です。本制度は、高付加価値な設備投資を行う企業に対し、「即時償却(取得価額の全額を初年度に特別償却)」または「取得価額の7%(建物・建物附属設備・構築物は4%)の税額控除」の選択適用を認めるものです(令和8年度税制改正の大綱)。
中小企業特例:対象となる資産区分と最低取得価額要件
投資計画に記載する生産性向上設備等の取得価額の合計額は、中小企業者等で5億円以上(大企業は35億円以上)が下限です。中小企業向けに緩い制度ではなく、大型投資を対象にした制度です。対象資産には次のとおり取得価額の下限が定められています。
| 対象資産区分 | 最低取得価額要件(1単位あたり等) | 備考 |
|---|---|---|
| 機械及び装置 | 1台 160万円以上 | – |
| 工具、器具及び備品 | 1台または1基 120万円以上 | – |
| ソフトウエア | 一の取得価額 70万円以上 | – |
| 建物 | 一の取得価額 1,000万円以上 | 新設・製作・建設後に事業の用に供されたことのないものに限る(中古資産は対象外) |
| 建物附属設備・構築物 | それぞれ一の取得価額 120万円以上 | 同上 |
※適用には、年平均の投資利益率が15%以上となる見込みの投資計画について、改正法の施行日から令和11年3月31日までに経済産業大臣の確認を受け、確認後に設備を取得して事業の用に供することが要件です。要件の細目は政省令・経済産業省の運用で定まるため、実行前に最新の公表資料を確認してください。
消費税インボイス制度:経過措置の見直しと新しいスケジュール
免税事業者からの仕入れに係る「仕入税額控除の経過措置」は、令和8年度税制改正によって抜本的に見直されました。一気に控除割合が下がることを防ぐため、全5段階の緩やかなスケジュールへと再編されています。
| 適用期間(開始日 〜 終了日) | 仕入税額控除の割合 | 改正による実務への影響 |
|---|---|---|
| 2023年10月1日 〜 2026年9月30日 | 80%控除 | 現状の控除水準が維持される。 |
| 2026年10月1日 〜 2028年9月30日 | 70%控除【新設】 | 50%への引下げを緩やかにするための期間。 |
| 2028年10月1日 〜 2030年9月30日 | 50%控除 | 当初の終了予定時期から期間が後ろ倒し・延長。 |
| 2030年10月1日 〜 2031年9月30日 | 30%控除【新設】 | 控除完全廃止前の最終段階としての猶予期間。 |
| 2031年10月1日以降 | 0%(控除不可) | 経過措置の終了。適格請求書等の保存がなければ仕入税額控除は受けられない。 |
出典: 財務省「令和8年度税制改正の大綱」(令和7年12月)、国税庁「令和8年度 税制改正特集」。本記事は2026年9月21日時点の公表資料で内容を確認しています。
